アクティブインタビューの対象者

昨年、「サンプルからスウォームへ」という記事を書いたが、ここで、アクティブインタビューの対象者を考えてみる。
多少の無理は承知で以下のように調査対象者と調査方法論を対応させた。

サンプルの時代     野生状態         標本理論による訪問面接調査
モニターの時代     放牧の始まり       インターネットリサーチ
コミュニティの時代    飼育方法の研究      MROC
スウォームの未来    野生を野生のまま扱う   ビッグデータ

以上は、いわゆる定量調査よりの対象者である。
アクティブインタビューはもちろん定性調査であるので、上記の分類は当てはまらない。
では、アクティブインタビューの対象者条件を旧来のインタビュー調査の対象者と仮想的に対比してみよう。

     旧来のインタビュー対象者          アクティブインタビューの対象者
 ?デモグラフィック特性                   ・デモ特性の条件はゆるい
 ?購入行動、使用行動の条件               ・同左
 ?インタビュー慣れしてない                ・インタビュー慣れして欲しい 
 ?専門家は排除                       ・競合会社でない専門家 
 ?主催者の意図を忖度しない               ・主催者と一緒に考える
 ?正直な回答者                       ・意味生成の協働者  

というような内容になろう。
?の条件は従来と変わらないが、老若男女が混じることは大きな問題ではない。
デモ特性はバラついてもいいので、当該テーマに対する意識や関心度は一定レベルをクリアしていることが重要になる。
?のインタビュー慣れは、むしろ慣れていて欲しくて、その方がラポール形成の時間節約になる。
?競合会社の社員や競合会社の仕事をしている人でなければ、専門家であってもよい。
そういった専門家にインタビューの現場で生活者(対象者)の意識に「棲みこんで」もらうという「新しい仕事」がモデレーターに課されることになる。そういったことができる専門家であれば問題ない。
一般のインタビューでは、「主催者のことは気にしないで、悪口でもなんでも自由に話してほしい」とお願いするが、アクティブインタビューでは「これこれの目的で、みんなで自由に考えて欲しい。その過程で製品やメーカーの悪口は自由です」というお願いになる。
そうすることで、回答マシーンから脱却してもらって、「新しい意味生成」の協働者(パートナー)になってもらうのである。
但し、あくまでもインナーの立場に立たないようにモデレーションすることは大切である。
そこが社内・社外モニターとの違いである。