アクティブインタビューのモデレーション

アクティブインタビューのためのモデレーターのポジションは以下のなかで、もちろん4番目である。
ここに至る方法論(道筋)はうまく説明(マニュアル化)できない。

  モデレーターの態度      場への関わり       行 動

? 完全な観察者          いれこむ         質問モレがない
? 参与者としての観察者     はいりこむ        自由な会話ができる
? 観察者としての参与者     踏み込む         核心を突く質問ができる
? 完全な参与者          棲みこむ         (対象者の)感覚・記憶に頼らない

最初にモデレーションする時は誰でも「入れ込み」状態で、対象者の雰囲気やバックルームの状況など気にする余裕はなく、単なる質問マシーンとなって、気になることは「聞き忘れはないか」ということだけの状態になります。
少し慣れてくると質問から「会話」に使い状態になりますが、その場の雰囲気に流されるだけで、会話の主導権が取れない状態です。
インタビューは外から見ると盛り上がってうまくいっているようですが、何も分析できていない状態でデブリーフィングに突入となり、混乱はここから始まります。
次は、関係性のほとんどを自らコントロールできて、テーマに対する的確な再質問(プロービング)をしながら全体雰囲気は壊さないモデレーションになります。

我々が目指すアクティブインタビューのモデレーションは対象者の中に「棲みこむ」ことを目指します。
きわどい言い方をすると「憑依」することになります。
生活者の生活心理の中にまるごとはいりこんで、観察者や参与者の視点ではなく、当のその人の視点からテーマに関する行動や意識を理解しようとするものです。
対象者を回答マシーンとしての役割から解放するのが、新しい意味の生成の第一歩です。