パーソナルコンストラクト理論

讃井さんが評価グリッ法を開発するまでは、レパートリーグリッド発展法といわれていました。
発展法をとったレパートリーグリッド法がその元祖になりますが、元祖の基礎理論が1955年(ふるい!)にKellyという心理学者が提唱したパーソナルコンストラクト理論です。
(もちろん原典にあたってはいませんが)そのエッセンスは
『人間は経験を通じて作られたコンストラクト・システムと呼ばれる個々に固有の認知構造を持ち,この構造により環境やそこで起きる出来事を理解し,結果を予測しようとしている。』
ということになります。
これでは人はそれぞれ個性的である、以上のことは言っていないと思われますが、キモはコンストラクトシステムにあるようです。
そこで、コンストラクトは
『「人間が目や耳などの感覚器で知覚した環境を意味のある世界として理解する際の認知の単位」であり、「窓が大きい−小さい」「室内が明るい−暗い」などの形容詞的性格を持つ一対の対立概念として表現される。』
と定義されます。
このあたりからリサーチに使えそうという予感がしてきます。
さらに、
『このシステムにおけるプロセスは,まず感覚器から原始的な情報を得ることに始まる。得られた情報はコンストラクトシステム上で,意味のある情報に加工されることにより下位のコンストラクトから上位のコンストラクトになっていく。』
と続いてラダリングの理論背景になっていきます。

評価グリッド法・ラダリング法は上記のように理論背景がしっかりした「めずらしい?」マーケティングリサーチ法だったのです。
今、知りたいのはKellyがこういった理論を開発したマーケティング(心理学)の時代背景です。
この理論の前は消費者(人、患者)の認知構造や行動をどのような理論枠組みで把握していたのでしょうか。
また、この方法論はその理論背景から、個人に適応されるもので集団(市場)にはそのまま適応されるものではないということが分かります。
ですから、インタビューも1on1が基本でラダー図も対象者1人に1枚が原則になりそうです。

*『 』内はhttp://www.kansei.tsukuba.ac.jp/~nakasiho/class/analysis/08RepG.pdfからの飲用