ダンバー数はホントか?

ダンバー数が気になって本を買ってしまった。
読んでみて、ホントか?という疑問が大きくなった。

友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学
(2011/07)
ロビン ダンバー

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まず、進化心理学に偏見が大きいのかもしれないが、読んでいて「血液型性格診断」的な匂いを強く感じてしまう。
ダンバー数は150人」とされる根拠として人類学が援用され、未開社会の部族の人数(人口)は500〜2500人だとする。(引用文献なし)
この大集団に対して狩猟・採集の目的で移動する小集団を30〜50人であるとする。(これも出典なし)
この集団数の2層構造に対して中間層として「氏族(クラン)」があり、これの平均値が150人だとする。(レンジは100人〜230人)
ここまでで「眉にツバ」したくなるのにいきなり文明社会に突入し、クリスマスカードの平均値が68枚なのに相手の家族まで含めれば、と強引に150人に持って行っている。
ビジネスの世界では150人規模が最適で工場もオフィスもこの人数を超えると2つの集団に分割した方が効率的とデータもなしで断言する。(そういう経験値があるらしい)
さらに軍隊組織(中隊の数)、学問分野の領域の研究者数、紀元前の遺跡の村人数、中世の土地台帳、18世紀のイングランドの村人数と事例をこれまた出典なしで列挙する。
(このあたりが、B型の行動事例と言われるものを列挙する血液型診断に似ている)

ひとりひとりの顔、名前、性格、などが識別できる上限数が150である理由としてヒトの新皮質の大きさと社会的知性説(マキャベリ的知性説)を持ち出す。
新皮質の大きさと社会的知性の説明はの事例はヒヒの行動観察で、ヒヒは社会的知性を持っている。(メスがオスを詐欺にかける)
そして、ヒヒはオス1頭にメス1から5頭のハーレムを形成し、10から15頭の群れを形成する。
(ヒトはヒヒよりも新皮質が大きいから150人の群れになるとは言っていない)

最後にネットワークは3の倍数で増えるということを持ち出して150人を納得させようとする。
論理的に考えようとすればするほどわからなくなる。
ダンバー数=150人は感覚的に納得できるだけだったので本人の本を読んでみたが「無駄?」だった。

これに限らず進化心理学の知見はトンデモ気分がおおきくなる。
手がかりは化石・遺跡・学生相手の安易な実験だけだから仕方ないのか。