不謹慎な企画展

仕事は全てキャンセルでヒマにしていたので、金曜日にバイク便の代役で書類を届けたあと、ふらふら三菱一号館美術館に行ってきた。
「マリー=アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン-華麗なる宮廷を描いた女性画家たち-」という企画展をやっていた。ルブランは聞いたことある程度の関心で観はじめた。
これが、震災・原発問題のこの時期の雰囲気には全く合わないものでびっくりした。(当然ではある)
たとえは悪いが「宮廷のポルノ」に近い印象である。
展示されたほぼ全部が肖像画で、モデルは貴族やその夫人(アントワネットも)がほとんどであって観て歩いても変化に乏しい。

美術史的にも重要ではなさそうなのだが、自分が発見したことは、まず、衣装の描写が精緻であることである。
左の絵は「盗まれた接吻」というタイトルで結構有名な絵らしいが、中央の婦人が着ている衣装のたぶんベルベットであろう生地の質感までが見事に描写されている。
右の絵もたぶんベルベット(知識がない)と思われる衣装のひとつひとつにシワまでが克明に描かれている。その描き方もいわゆる写真的「ハイパーリアリズム」とは違う印象で絵画的である。
さらにこの絵は赤と黒の塊や線が画面を分割して躍動感があった。


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もうひとつは発見というにはおこがましいが、ルブランが美人であったということである。
マリーアントワネットよりも美人である。(ま、趣味の問題だが)
貴族階級の中に、美貌と絵の才能で切り込んで行った女性画家、みたいなストーリーがあったのかもしれない。
画家には貧乏か狂気が共通項のようにあるが、それらから遠い平和な階級の雰囲気がある。
過剰な「意味」を求めないで美しいものを美しく描くというのも大切だとおもった。