創られた「日本の心」神話

  • 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史-とあるサブタイトルの方が本の内容をよくあらわしている。

読んでも演歌というジャンルが「日本の心」(の歌)としてどのように捏造されたか、ということはわからない。
理由は、演歌=日本の心という結びつきの説明がない、少ないことが大きいだろう。
多分、著者が付けたかったタイトルと編集者が売れると判断したタイトルが違ったのではないかと想像する。
自分もサブタイトルより本タイトルにひかれてこの本を買っている。

内容は戦後大衆音楽史としておもしろかった。
基本的に事実とそれにまつわる裏話をちょこっと載せるという書き方で、大塚英志的なこじつけ解釈、事実のこじつけ羅列、がなくストレスなく読めた。
「イトウに行くなら、ハトヤ♪」がいずみたく野坂昭如コンビの作品であったことを思い出させてくれた。

読んでいて、日本の高度成長は二度と来ない奇蹟だったのだな。と関係ない感慨を持った。