「選択の科学」は哲学書だった?

シーナ・アイエンガーというインド系カナダ人でシーク教徒で盲目という大学の先生がコロンビア大学ビジネススクールでの特別講義をまとめた本。
内容は、認知科学、脳科学、行動経済学の知見の復習であった。
実験内容が詳しく記述されているので理解は進む。

この先生が実施したジャムの24種類と6種類の実験結果からP&Gがブランド数を絞り込んだというのがこの本というか、この先生のウリらしい。
ただ、おっしゃりたいのは「選択は本能である」「選択は創造である」という哲学的なことであってマーケティング的な主張は二の次らしい。(それは悪いことではない)
原題は「The Art of Choosing」であるし。

選択権(自己決定権)の大きさは幸福感と相関するが、それは、
・自己決定権の大きさではなく、自己決定権をもっているという認識の強さによる。
・制約は必ずしも自己決定権を損なわず、思考と行動は自己決定権を必ずしも高めるわけではない。
ということらしい。
幸福の経済学、ブランド選択(購買)の幸福を考える上で重要かと。
(ただ、これも参照点問題ということだけかもしれないが)

数年前のIBMの広告のキャチコピー「コントロールを取り戻せ!」を思い出した。(意味はない)