江戸の気分
週刊文春でおなじみだった(今も連載しているのか?)堀井憲一郎さんの講談社現代新書。
落語をネタに江戸庶民のしたたかさが伝わってくるおもしろい本。(二番煎じも多いのだろうが)
おもしろかったポイント。
医者は患者を治さない。病(ヤマイ)は引き受ける、決して戦わない。
・医者は診断(見立て)をするだけ、後は「薬食い」を始め、患者の努力・養生次第。
・これなら医療過誤による訴訟もない。
・病気見舞いに「たまご」を持っていく風習は幼いときの記憶としてあるが、怪しい。
神様はすぐそばにいるし、キツネやタヌキに普通にだまされる。
・志賀直哉の「小僧の神様」ではないが、都合のよい神様があちこちにいた。
・1965年をさかいに日本人はキツネにもタヌキにもだまされなくなった、と言い切っている。
・幼い頃、夕方遅くまで遊んでいるとばあさんに「キツネが来る(だます)」とおどされた記憶があるが(怪)
・日本の不況があと20年続けば、キツネ、タヌキが復活するかも
江戸の火消しは遠見と破壊
・子供の頃、近所に火事があると(けっこうあった)オヤジがハシゴ!、ハシゴ!と叫んでいた。
・ばあさんはウチを壊すなと叫んでいた(怪)
・兄貴はウチをホットイテ、現場に火事見物にすっ飛んで行った。(ホント)
・火事見物には一種の陶酔感があった。家から噴出す炎はなんともいえない。(放火犯の心理?)
土葬は明治か昭和に復活した(させられた)
・ウチのばあさんは焼かれるのをイヤがり町会議員に特例で土葬の約束をさせていたが、その議員が先に死んで
焼かれてしまった。ウチのばあさんの名前は「サキ」。先が後になった。(ホント)
掛売りが当たり前
・御用聞きはよく来ていた。オフクロは来月まで待って、とよく言っていた。
・金持ちより貧乏人の方が明るかった。子供もそうだった。
・格差とか、最小不幸なんて。