認知コスト

藤井さんシリーズ。
ヒトの脳の重量はサルの4倍あるそうだ。それなのに脳に流れ込む血流量は2倍くらいしかないらしい。常に燃料不足の状態にあるため、脳は省エネ活動に熱心らしい。
低コスト・低燃費で最大の認知力を生み出す方法のひとつがパターン化された認知システムになる。
藤井さんはそこから社会的ルールの意味や倫理の問題まで発展させてソーシャルブレインズという新しい概念を脳科学に持ち込もうとしているようだが、その手前でマーケティングのことを考えてみる。

消費者は一部を除いて保守的である。(一部をイノベーターといい、残りをマスという)
この境界をマーケティングリサーチは年齢、性別、性格、可処分所得、ジャンルへの関与度などあらゆる尺度を持ち出して解明しようとし、いまだ、完全な成功をおさめていない。
脳科学でも人は保守的で当たり前ということになる。
・見たこともない、新しいものにはまず、扁桃体が発火して恐怖や忌避の認知を生み出す。
・さらにコストに見合う成果が予測できそうもなければ、簡単にルーティン化した認知を採用する。
これはマーケティングの敵である。
思い入れタップリに消費者のことを考え抜いて作った新製品はこれら、脳のバリアを越えなくてはいけない。

認知コストをかけることを強いられた(その対価は謝礼)グループインタビューでの評価と日常生活の中での評価が違うのは脳科学的にも当然のこと。
ここを越えて分析してこそリサーチャーである。