中島敦「山月記伝説」の真実

文春文庫の720です。
買うときから止めようかなと思っていた通りおもしろくない内容です。
ヒガミとはわかっていても筆者を含め、一高、東大コースの秀才達の内輪話です。エリート故の複雑微妙な心理はわかりますが、二流、三流の高校・大学を出た身としては「大変だね」としか思えません。山月記をこうまで作者の人間関係の中に当てはめられると鼻じらみます。

「時に、残月、光冷ややかに、白露は地に滋く、樹間を渡る冷風は既に暁の近きを告げていた。」
の自然に帰ることもせず虎となってまで燃やす李徴の執念は凡人には理解できない。

中島敦 父から子への南洋だより」という美しい本はそういった執念とは関係ないのでうれしい。
アマゾンで検索すると「だより」を「便り」としただけで該当なしになる。作家名で検索しても出てこない。