「あたりまえ」を疑う社会学

好井裕明さんの2006年の光文社新書です。サブタイトルは「質的調査のセンス」です。マーケティングのエスノグラフィーを考えるに当たって読み直しました。

社会学でのフィールドワークの聞き取りに3つのタイプがあるということで、桜井厚さんの「インタビューの社会学」から引用しています。

聞き取りにおける実証主義
人が生きてきた歴史事実として客観的に把握できる。人々の語りはその事実を傍証するもの。
聞き取りにおける解釈的客観主義。
語りに含まれているそれぞれの事実の解釈を聞き取ろうとする。人々が語る解釈を重ね合わせれば、ある客観的歴史事実に到達するであろう。
聞き取りにおける対話的構築主義
相手と向き合って話し合い何かを作り上げること。聞き手は情報を引き出す装置ではないし、語り手は聞き手が欲しいと思う情報を提供する容器でもない。<略>相互に微細に創造する相互行為が実践されて行く場である。

もちろん、対話的構築主義こそがエスノメソドロジーにおけるインタビュー(聞き取り)のあるべき姿と主張されています。この内容は「アクティブインタビュー」に書かれていることに極めてよく似ています。社会学やマーケティングリサーチが客観性を標榜しているときは気をつける必要がありそうです。

対話的構築主義こそが「参与観察」であろう。