出挙(すいこ)

初穂として神にささげられ、神聖な倉庫にしまわれていた稲を種籾として農民に貸し与え、秋に神への感謝、御礼の意をこめて、若干の利息をつけて、倉庫に戻す。これがおそらく出挙の源流であろうと思います。<略>
中世では、初穂のことを「上分(じょうぶん)」といいます。たとえば、日吉(ひえ)神社の場合は日吉上分銭、日吉上分米、熊野神社では熊野上分米といいますが、それを熊野御初尾米ともいっているのです。このような熊野や日吉の神にささげられた初尾、上分が貸し出される。つまり、神物を貸付、神に対する御礼として利息をとるわけです。<略>
おそらく利息はどの民族でも、農業ないし、牧畜などの生産との関わりで生まれてくるのではないかと私は考えております。
網野善彦「境界に生きる人々」1988

神を金融の基本に置いた、あるいは神を利用した、一神教の神と違って融通無碍。
網野史学はおもしろい。