言語と思考を生む脳

シリーズ脳科学の3です。
全6巻のうち、現在出ている4冊の中では最も「科学的」な記述の少ない巻です。それだけに脳科学が発展していても言語を生み出す仕組みは細胞レベル、脳機能レベルではまだまだ解明されないことがよくわかります。
そこでチョムスキーの登場です。
生成文法という概念は、ダーウィンの進化論に匹敵する革命的な仮説かもしれません。
言語獲得装置(LAD)を生得的に持っていることは確かなようですが、それが何故、ヒトにだけ固有に獲得されたのかはわかりません。天(神)から与えられたものではなく、その前段階としての何かがあったと考えるのが脳科学ですが、その何かが淘汰圧となって獲得されたとは考えにくいというのが現在の自分の印象です。
言語獲得は生得的であり、文法(統語構造)はあらゆる言語で普遍的であるという仮説を思いつき、その仮説を統語構造研究で証明し、深化させ、再構築(多すぎた例外を整理?)していくチョムスキー一派の駆動力はたいしたものです。
チョムスキーの政治的発言はおかしな方向に振れすぎていますが、やはり天才だからなのでしょう。

もうひとつの発見は小鳥は「さえずり」を学習するという事実の確認です。
さえずりの学習にミラーニューロンが関与している(だろう)ということ。
さらに、ミラーニューロンが類人猿ではなくマカク属のサルの運動野で最初に発見されたことです。

進化の頂点にいると思っている人類もたいしたことないのかもしれません。

言語と思考を生む脳 (シリーズ脳科学 3)言語と思考を生む脳 (シリーズ脳科学 3)
(2008/11/20)
不明

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