「見る」サイモン・イングス

カンブリア紀の大爆発が『眼の誕生』で引き起こされたというパーカーの著書で昂奮したのがたぶん、去年のいまごろ。
この本ではパーカーが犯人とした肉食三葉虫の眼による補食行動がカンブリア紀の大爆発の原因だとする説を「三葉虫の化石は大爆発後350万年たった地層から発見される」という事実でひっくり返している。ただ、肉食三葉虫の目にこだわらなければ、眼の誕生による淘汰圧がカンブリア紀大爆発を引き起こしたことは間違いないらしい。
この本でおもしろかったのは小さな眼点が球体(レンズ)になるプロセスのコンピュータシュミレーションだ。結果は50万年くらいで魚の目ができたそうだ。
カンブリア大爆発は5億4300万年前だから、50万年なんてわずかな時間である。それくらいで「眼」ができてしまう。何故、眼が誕生したかはやっぱりわからない。