『行動経済学の逆襲』

しばらく行動経済学関連の読書をしてなかった。タイトルはイマイチだが、セイラー先生の本をよみながら、もう一度頭を整理しようかと。 本流経済学が想定する「エコン」は「合理的期待」に基づいて選択しており、限られた予算の下で最良のものを選ぶ「制約付…

時間収支仮説と社会脳仮説

ロビン・ダンバー『人類進化の謎を解き明かす』は社会脳仮説と時間収支仮説で現生人類がこのように繁栄したかを説明している。 時間収支仮設とは、現生人類を含む類人猿は集団を作って生活していた。そのときの課題は、時間収支のバランスをとらないと群れ(…

競争の科学

論旨が崩れたり、エビデンスが不十分だったりで少しトンデモのにおいがするが、おもしろかった。 ほとんどの場面で競争があった方がパフォーマンスは上がる。 ただ、パフォーマンスに変化がない人、競争下ではパフォーマンスが下がる人もいる。 適応競争力と…

データの見えざる手

久しぶりに面白い本に出会った。 感想は、 ・ この本でビッグデータのなんたるかと可能性が理解できた。 ・ 名札型ウェアラブル端末で行動(加速度)と接触・会話(内容は取れない)でデータを収集すること ・ 人間の感情や仕事量が「動き」から解析できるこ…

犬にココロを読まれる

岩波科学ライブラリー199『犬のココロを読む』と青土社『仔犬に脳を盗まれた!』を続けて読んだ。 たまたま犬関係が続いただけだが、確かに犬がどうしてこれほど人間と仲良くなったのか不思議である。 猫も仲良しだが犬ほど「人間的」な付き合い方はしていな…

マーケティングリサーチの進め方がわかる本

2001年に出した「図解でわかるマーケティングリサーチ」の改訂版です。 ソーシャルリスニングだ、MROCだ、ビッグデータだ、というような最新の話は載せませんでした。 グループインタビュー(3章)とネットリサーチ(8章)は全面的に書き換えまし…

顧客に愛される会社のソーシャル戦略

跡部さんの3作目である。 ソーシャルメディアをファン作りに活用する時のノウハウ、事例、留意点が具体的に書かれていて「やりたい」と考えている企業、「どう展開していこうか」と悩んでいる企業の担当者やその上司にはとても参考になると思う。140ペー…

経済とはテクノロジーの表現である

W・ブライアン・アーサー『テクノロジーとイノベーション』を読んだ。経済とはテクノロジーの表現である。 と言い切ったあと、現代のテクノロジーは、 ・自己創造するものであり ・果てしない開放性を持っており ・果てしなく新しさを追及する ものであると…

檜皮葺

雨と屋根の記憶。 トタン屋根の前は何だったか、フと思い出した。 母屋は瓦が葺いてあったが、そこから長く伸ばした庇の下に「おかって」(死語)を作ったおやじは自慢気であった。 これによって母屋の土間の「へっつい」は廃止され、火を使う仕事は「おかっ…

タイトルにだまされやすくなった

最近本選びに失敗が多い。隠れた脳―好み、道徳、市場、集団を操る無意識の科学(2011/09/10)シャンカール・ヴェダンタム商品詳細を見るこれはタイトルと装丁に騙された。 著者欄を見れば、ジャーナリストでもあるサイエンスライターだから、内容は想像がつい…

安心を得るために不安をかきたてる

不安を取り除けば安心が得られる。 ところが、ある不安が解消されて安心していると、その安心が「不安」になるらしい。 いまの世の中、そんなに安心できる訳がないということだ。 するとどうするか、新たな不安材料を探し歩き始めるのだ。二酸化炭素の排出を…

前に進む力とランダムウオーク

昨日で日経本誌私の履歴書「山下洋輔」が終わった。 連載中から最近読んだダグラス・パーヴァイアンス、跡部徹『前に進む力』と比較していた。 山下もダグラスもジャズメンで、どちらも「成功」している。 2人の違いをいろいろ考えていた。 山下はオーケス…

P&Gのイノベーション

『ホワイトスペース戦略』マーク・ジョンソンを読んだ、というよりペラペラとめくってみた。 クリステンセンの盟友という帯を見て買ってしまったが、盟友を越えてはいないようだ。 ただ、注目できるのがラフリーという前のP&GのCEOの序文である。強引…

やっぱり赤ちゃんは哲学しない

開一夫『赤ちゃんの不思議』(岩波新書)を読んだ。 少し前『哲学する赤ちゃん』(著者は外国人)をよんでいたが、開さんの本の方が格段にわかりやすかった。 最近の赤ちゃん研究の成果が詰まっていておもしろい。 大人になってしまったわれわれは体験してき…

チンパンジーの自立

松沢哲郎「想像するちから」という本でチンパンジーと人間の子育てを比較していた。(p36あたり) チンパンジー ヒト 5年に1回生む 年子でも生める 妊娠期間240日 妊娠期間280日 授乳期間が長い(5年くらい) 授乳期間は2年くらい 母親が1人で育…

石原都知事とコンドルセ投票

震災と原発で浮き足立っている中でも選挙は行われるらしい。 札幌出張中に朝の準備で横目で見たいただけなのではっきりしたことは言えないが、テレビを見ていて石原の圧勝は仕方ないのかなと思った。(たぶん、フジテレビ系の日曜日朝の番組) 渡邊さんが若…

ニューロマーケティングと感覚器の進化

岩堀修明「図解・感覚器の進化」読了。 現在の脳科学ブームは感覚器が外部情報を得てから先の感覚・意識・認知の話だがその入り口の感覚器の進化を多くの図解でわかりやすく解説した良書。と思う。 気づかされたこと ・視覚器は脳から作られた(皮膚からでは…

ダニエル・カーネマンとモデレーション(統計的予測と臨床的予測)

「ダニエル・カーネマン心理と経済を語る」の自伝の部分におもしろい記述があった。(p75あたり) 21歳で中尉としてイスラエル軍に赴き、すぐに「新兵の適性テストをもっと信頼性の高い方法にせよ」との命令を受けた。 その当時、女性エリートの面接官…

400万年の99%は狩猟・採集生活

この1年で「ヒトの400万年(?)の生活のほとんどは狩猟・採集生活であり、農業・定住が始まったのはつい最近のこと」という仮説をよく聞いた気がする。 ここから、DNAに次のようなことが「書き込まれた」という話の展開になる。 ・小集団で共通の目…

本屋の発見

先週、恵比寿の有隣堂をふらついていて、最近ご無沙汰の海外文学コーナーをちらちら眺めていたら、妙に気を引く表紙があった。 作者も初めて見る名前だし、タイトルも凡庸とおもわれたのに何に惹かれたのかわからない。 最も最近は海外の作家の名前なんか新…

「食える数学」神永正博

死ぬまで続く数学コンプレックス。 読み終わったこの本のほかに積んであるのが、「美しい数学」「美の幾何学」「キュートな数学名作問題集」「数学は言葉」の4冊、読みかけが「統計学入門」(小島寛之)ともう1冊行方不明。巷では数学ブームが再びか、みた…

自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド

カウンセリングをやっている知り合いから薦められて吉田友子さんの本「あなたがあなたであるために」を読んだ。 まだ、診断を受けていないのだが、長男がたぶん、これではないかと。・AS(アスペルガー)の「脳タイプ」というものがある。 ・ASは単に「…

創られた「日本の心」神話

「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史-とあるサブタイトルの方が本の内容をよくあらわしている。 読んでも演歌というジャンルが「日本の心」(の歌)としてどのように捏造されたか、ということはわからない。 理由は、演歌=日本の心という結びつきの説明がない、…

江戸の気分

週刊文春でおなじみだった(今も連載しているのか?)堀井憲一郎さんの講談社現代新書。 落語をネタに江戸庶民のしたたかさが伝わってくるおもしろい本。(二番煎じも多いのだろうが) おもしろかったポイント。 医者は患者を治さない。病(ヤマイ)は引き受…

ヒトは料理で進化した

「火の賜物」リチャード・ランガムを読んだ。 サブタイトルが、ヒトは料理で進化した。である。 火の獲得によって、暖をとる、夜間肉食獣の襲撃を減らせるなど類人猿から離脱する進化のきっかけを得たということは納得的である。(ホントにそうかはわからな…

「空気読み」企画術

仕事でも時々お世話になっている跡部さんの処女作を献本していただきました。 あまたある企画術のノハウ本との違いは、最初から最後までシンプルな訴求を繰り返していることと、単なるテクニックの詰め込みではなく、大げさに言うと「思想」を語っていること…

家族の勝手でしょ!

岩村暢子さんの「変わる食卓、変わる家族」の続編である。 今回は「写真=事実」の提示だけで価値判断(コメント)は極力避けているようであるが、見つめる視線は固定されている。若い母親によって、食卓が乱れ、それが子供に影響し、男達の知らないところで…

後藤秀夫先生を偲ぶ

標題の遺稿集と追悼文をいただいた。 後藤先生とは15年以上同じ会社にいたが、最後まで深い接触はなかった。 それが残念でもあり、仕方なかったと納得してもいる。 自分がパネル部門に在籍していたためもあって業務での接触がなかったことが大きな原因と思…

生き物をめぐる4つの「なぜ」

長谷川真理子さんの2002年の集英社新書。 動物の形態と行動の多様性の意味は何か、進化とはどういうことなのかを考える本、だと思います。 ここで長谷川さんは動物行動の理解のためにティンバーゲンが提出した4つの「何故?」の解明を光る動物、鳥のさ…

「たまたま」

タレブの「ブラックスワン」と同じ主張をしていると考えて間違いないとおもう。 こっちは相場師ではなく、ムロディナウという理論物理学者の本。原題は「ドランカーズ・ウォーク ランダムネスはわれわれの人生をどう左右するか」というタイトル。 その248…

「アスペルガー症候群」

幻冬社新書、著者は岡田尊司さんという臨床の精神科医です。 アスペルガー症候群の改善方法として、言語療法において語彙を増やすこと以上に、話題を共有し、交互に双方向の会話をおこなうスキルを高める必要がある。さらに何度は高くなるがユーモアや比喩や…

中島敦「山月記伝説」の真実

文春文庫の720です。 買うときから止めようかなと思っていた通りおもしろくない内容です。 ヒガミとはわかっていても筆者を含め、一高、東大コースの秀才達の内輪話です。エリート故の複雑微妙な心理はわかりますが、二流、三流の高校・大学を出た身とし…

「仏教が好き」

河合隼雄と中沢新一の対談集。2003年の出版。 佐々木閑さんの「犀の角たち」を読んでいなければ、中沢新一のトンデモ本的傾向がハナについたかもしれない。量子論とブッダの思想というより行動の関連性などが佐々木さんの本を思い出しながら改めて理解できた…

「生きるための経済学」安富歩

NHKブックスの2008年です。 経済学とありますが、経済学の勉強には役立ちません。どちらかと言えば哲学書です。 経済学に対するありきたりの批判「合理的経済人のウソ」「過剰な数学的装飾」とは角度が違ったいわば根元的批判の書といえるでしょう。 …

山田詠美 「学問」

おもしろかった。 女性の視点からの映画「スタンドバイミー」と言った印象。 4人組の生き生きした人間関係、成長しているようで子供のままの心情。 エロティシズムを慎重に避けたと思われる性描写。(新境地だと思う)よくわからなかったのはテンちゃんが普…

水とはなにか

ブルーバックスで新装版とあるから古い本なのでしょう。 水は空気とともに地球の生命を育む重要な物質で、地球の他に水と空気がそろった惑星はない。 0°と100°で相転移し、個体・液体・気体になる程度の知識しかありませんでした。 この本では、水はそん…

日本人の脳に主語はいらない

日本語衰退論、日本語固有論とも違う脳科学からの言語と思考の話。最近読んだ「ミラーニューロンの発見」と連動させてみると大きな理解が得られる。ヒトはイメージするときに体を動かしているという発見は具体的にはミラーニューロンが発火することであろう…

リーマン予想

昨年破綻した金融会社でもないし、サラリーマンの競馬予想でもない「リーマン予想」、ペレルマンによって解決されたポアンカレ予想も何のことかわからず、彼がフィールズ賞を拒否して行方をくらました話題からさかのぼった後ろめたさから、そろそろ解決のウ…

ナンパを科学する

タイトルが面白くて読みましたが、看板倒れでした。 著者は「ナンパ」されやすいタイプで、周囲には美人で色っぽいにもかかわらずナンパされた体験がないか少ない女性もいて「なぜだろう?」が出発点だったそうです。ナンパを科学する ヒトのふたつの性戦略(…

「買う気」の法則

広告崩壊時代のマーケティング戦略と副題のある山本直人さんという博報堂にいらっしゃった方のアスキー新書です。広告作業の流れとして「総合戦略立案」と「メディアプランニング」は広告主側で行うべきで(行うようになり)広告会社は「クリエイティブ」と…

ブラックスワン

ベル型カーブ → 閉じた世界 → 計画・予測 → 大きな政府 → 集産主義 → 黒い白鳥 マンデルブローカーブ → 拡張可能 → おおまかな予想 → 小さな政府 → 自由主義 →黒い白鳥を予想ベル型カーブ → 定量調査 → 誤差計算 → 過去の確認 → 線型予測 → 平凡なコンセプト…

坂道美学

タモリのTOKYO坂道美学入門(2004/10/16)タモリ商品詳細を見る本棚の隅から出てきて思わず読みふけりました。 当時は自転車のヒルクライムレースにチャレンジし始めた頃で、練習場探しで買ったような気もします。この本の中に知ってる坂を見つけて喜んでいた…

はじめての現代数学

数学にいわれなき憧れを抱く人は多い。偏見を恐れずにいえば、そうした人は大学受験前に数学を諦め、理系もあきらめた人である。数学ができて、絵が描ける、音楽ができる、作家である、経営者である、となるとそれだけで自分の数百倍豊かな精神をもっている…

原理主義と一神教

日々是修行 現代人のための仏教100話 (ちくま新書)(2009/05/09)佐々木閑商品詳細を見る佐々木閑の「犀の角たち」「出家とは何か」を読んで、釈迦の仏教に強い興味を持ちました。この本は朝日新聞に連載されたコラムをまとめたものらしいです。2冊を一般向け…

自己組織化とは何か 第2版

ブルーバックスは時々読みますが、科学の専門家が一般にわかりやすく説明するというコンセプトを実現できている本は少ない。もちろん、こちらの知識、理解力不足が問題なのであろうが、文章そのものがわかりにくいものもある。 その点この本は5人の共著にな…

本屋の楽しみ

なんとなく元気がない、なにをやってもしょうがないと軽いウツを感じたとき、本屋に行って元気になって帰ってくることがあります。 そういうときは、普段行かないコーナーに行きます。 怪しいと思われてもいいので女性雑誌コーナー、フーゾク関係、英語学習…

マルクスの亡霊たち

ドゥルーズの「差違と反復」は5ページで投げ出しましたが、これは文庫本でなく5000円もしたので無理して読みましたが、やっぱり理解は無理でした。 まさに年甲斐もない読書です。ところで生きることを学ぶ=教えること、それを1人で、自分から学ぶこと…

世界経済はこう変わる

小幡績さんと神谷秀樹さんの対談です。 2人とも今回の金融危機が強欲資本主義を終わらせたというとらえ方をし、これからは新しい資本主義が始まるという視点です。前者は納得できるのですが、後者、これからどうなるという本書のキモの部分はよく理解できま…

資本主義と自由

ご存じミルトン・フリードマンの1962年の本だそうです。 解説の高橋洋一さんが言う通り、現在の世界に対する処方箋として読めます。 感心するのはあらゆる現象を冷徹でリアルに分析できる分析力です。 政治・経済分析に当たって「理想、善意、平等、正義…

狩猟と編み籠

2、3年前から芸術人類学を提唱して多摩美に研究所まで作らせた中沢新一の本で、買ってから1年たって読みました。 中沢新一は出版されたものの8割暗いは読んでいると思いますが、読んでいるときの「語り口」の良さにだまされているような気がしてなりませ…