GANで連歌を楽しむ

昨日、平成最後の金曜日に紀伊国屋書店をヒマつぶし目的で訪れた。1Fの新刊フロアーからしてレイアウトが変わって通路が広くなっている印象。(実は数年ぶりで訪れたことに気づいた)2Fをぶらぶらしていて詩歌のコーナーに気づいた。本を買う目的で書店を訪…

『行動経済学の逆襲』

しばらく行動経済学関連の読書をしてなかった。タイトルはイマイチだが、セイラー先生の本をよみながら、もう一度頭を整理しようかと。 本流経済学が想定する「エコン」は「合理的期待」に基づいて選択しており、限られた予算の下で最良のものを選ぶ「制約付…

時間収支仮説と社会脳仮説

ロビン・ダンバー『人類進化の謎を解き明かす』は社会脳仮説と時間収支仮説で現生人類がこのように繁栄したかを説明している。 時間収支仮設とは、現生人類を含む類人猿は集団を作って生活していた。そのときの課題は、時間収支のバランスをとらないと群れ(…

競争の科学

論旨が崩れたり、エビデンスが不十分だったりで少しトンデモのにおいがするが、おもしろかった。 ほとんどの場面で競争があった方がパフォーマンスは上がる。 ただ、パフォーマンスに変化がない人、競争下ではパフォーマンスが下がる人もいる。 適応競争力と…

データの見えざる手

久しぶりに面白い本に出会った。 感想は、 ・ この本でビッグデータのなんたるかと可能性が理解できた。 ・ 名札型ウェアラブル端末で行動(加速度)と接触・会話(内容は取れない)でデータを収集すること ・ 人間の感情や仕事量が「動き」から解析できるこ…

犬にココロを読まれる

岩波科学ライブラリー199『犬のココロを読む』と青土社『仔犬に脳を盗まれた!』を続けて読んだ。 たまたま犬関係が続いただけだが、確かに犬がどうしてこれほど人間と仲良くなったのか不思議である。 猫も仲良しだが犬ほど「人間的」な付き合い方はしていな…

マーケティングリサーチの進め方がわかる本

2001年に出した「図解でわかるマーケティングリサーチ」の改訂版です。 ソーシャルリスニングだ、MROCだ、ビッグデータだ、というような最新の話は載せませんでした。 グループインタビュー(3章)とネットリサーチ(8章)は全面的に書き換えまし…

顧客に愛される会社のソーシャル戦略

跡部さんの3作目である。 ソーシャルメディアをファン作りに活用する時のノウハウ、事例、留意点が具体的に書かれていて「やりたい」と考えている企業、「どう展開していこうか」と悩んでいる企業の担当者やその上司にはとても参考になると思う。140ペー…

経済とはテクノロジーの表現である

W・ブライアン・アーサー『テクノロジーとイノベーション』を読んだ。経済とはテクノロジーの表現である。 と言い切ったあと、現代のテクノロジーは、 ・自己創造するものであり ・果てしない開放性を持っており ・果てしなく新しさを追及する ものであると…

檜皮葺

雨と屋根の記憶。 トタン屋根の前は何だったか、フと思い出した。 母屋は瓦が葺いてあったが、そこから長く伸ばした庇の下に「おかって」(死語)を作ったおやじは自慢気であった。 これによって母屋の土間の「へっつい」は廃止され、火を使う仕事は「おかっ…

タイトルにだまされやすくなった

最近本選びに失敗が多い。隠れた脳―好み、道徳、市場、集団を操る無意識の科学(2011/09/10)シャンカール・ヴェダンタム商品詳細を見るこれはタイトルと装丁に騙された。 著者欄を見れば、ジャーナリストでもあるサイエンスライターだから、内容は想像がつい…

安心を得るために不安をかきたてる

不安を取り除けば安心が得られる。 ところが、ある不安が解消されて安心していると、その安心が「不安」になるらしい。 いまの世の中、そんなに安心できる訳がないということだ。 するとどうするか、新たな不安材料を探し歩き始めるのだ。二酸化炭素の排出を…

前に進む力とランダムウオーク

昨日で日経本誌私の履歴書「山下洋輔」が終わった。 連載中から最近読んだダグラス・パーヴァイアンス、跡部徹『前に進む力』と比較していた。 山下もダグラスもジャズメンで、どちらも「成功」している。 2人の違いをいろいろ考えていた。 山下はオーケス…

P&Gのイノベーション

『ホワイトスペース戦略』マーク・ジョンソンを読んだ、というよりペラペラとめくってみた。 クリステンセンの盟友という帯を見て買ってしまったが、盟友を越えてはいないようだ。 ただ、注目できるのがラフリーという前のP&GのCEOの序文である。強引…

やっぱり赤ちゃんは哲学しない

開一夫『赤ちゃんの不思議』(岩波新書)を読んだ。 少し前『哲学する赤ちゃん』(著者は外国人)をよんでいたが、開さんの本の方が格段にわかりやすかった。 最近の赤ちゃん研究の成果が詰まっていておもしろい。 大人になってしまったわれわれは体験してき…

チンパンジーの自立

松沢哲郎「想像するちから」という本でチンパンジーと人間の子育てを比較していた。(p36あたり) チンパンジー ヒト 5年に1回生む 年子でも生める 妊娠期間240日 妊娠期間280日 授乳期間が長い(5年くらい) 授乳期間は2年くらい 母親が1人で育…

石原都知事とコンドルセ投票

震災と原発で浮き足立っている中でも選挙は行われるらしい。 札幌出張中に朝の準備で横目で見たいただけなのではっきりしたことは言えないが、テレビを見ていて石原の圧勝は仕方ないのかなと思った。(たぶん、フジテレビ系の日曜日朝の番組) 渡邊さんが若…

ニューロマーケティングと感覚器の進化

岩堀修明「図解・感覚器の進化」読了。 現在の脳科学ブームは感覚器が外部情報を得てから先の感覚・意識・認知の話だがその入り口の感覚器の進化を多くの図解でわかりやすく解説した良書。と思う。 気づかされたこと ・視覚器は脳から作られた(皮膚からでは…

ダニエル・カーネマンとモデレーション(統計的予測と臨床的予測)

「ダニエル・カーネマン心理と経済を語る」の自伝の部分におもしろい記述があった。(p75あたり) 21歳で中尉としてイスラエル軍に赴き、すぐに「新兵の適性テストをもっと信頼性の高い方法にせよ」との命令を受けた。 その当時、女性エリートの面接官…

400万年の99%は狩猟・採集生活

この1年で「ヒトの400万年(?)の生活のほとんどは狩猟・採集生活であり、農業・定住が始まったのはつい最近のこと」という仮説をよく聞いた気がする。 ここから、DNAに次のようなことが「書き込まれた」という話の展開になる。 ・小集団で共通の目…

本屋の発見

先週、恵比寿の有隣堂をふらついていて、最近ご無沙汰の海外文学コーナーをちらちら眺めていたら、妙に気を引く表紙があった。 作者も初めて見る名前だし、タイトルも凡庸とおもわれたのに何に惹かれたのかわからない。 最も最近は海外の作家の名前なんか新…

「食える数学」神永正博

死ぬまで続く数学コンプレックス。 読み終わったこの本のほかに積んであるのが、「美しい数学」「美の幾何学」「キュートな数学名作問題集」「数学は言葉」の4冊、読みかけが「統計学入門」(小島寛之)ともう1冊行方不明。巷では数学ブームが再びか、みた…

自分らしく生きるためのアスペルガー症候群ガイド

カウンセリングをやっている知り合いから薦められて吉田友子さんの本「あなたがあなたであるために」を読んだ。 まだ、診断を受けていないのだが、長男がたぶん、これではないかと。・AS(アスペルガー)の「脳タイプ」というものがある。 ・ASは単に「…

創られた「日本の心」神話

「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史-とあるサブタイトルの方が本の内容をよくあらわしている。 読んでも演歌というジャンルが「日本の心」(の歌)としてどのように捏造されたか、ということはわからない。 理由は、演歌=日本の心という結びつきの説明がない、…

江戸の気分

週刊文春でおなじみだった(今も連載しているのか?)堀井憲一郎さんの講談社現代新書。 落語をネタに江戸庶民のしたたかさが伝わってくるおもしろい本。(二番煎じも多いのだろうが) おもしろかったポイント。 医者は患者を治さない。病(ヤマイ)は引き受…

ヒトは料理で進化した

「火の賜物」リチャード・ランガムを読んだ。 サブタイトルが、ヒトは料理で進化した。である。 火の獲得によって、暖をとる、夜間肉食獣の襲撃を減らせるなど類人猿から離脱する進化のきっかけを得たということは納得的である。(ホントにそうかはわからな…

「空気読み」企画術

仕事でも時々お世話になっている跡部さんの処女作を献本していただきました。 あまたある企画術のノハウ本との違いは、最初から最後までシンプルな訴求を繰り返していることと、単なるテクニックの詰め込みではなく、大げさに言うと「思想」を語っていること…

家族の勝手でしょ!

岩村暢子さんの「変わる食卓、変わる家族」の続編である。 今回は「写真=事実」の提示だけで価値判断(コメント)は極力避けているようであるが、見つめる視線は固定されている。若い母親によって、食卓が乱れ、それが子供に影響し、男達の知らないところで…

後藤秀夫先生を偲ぶ

標題の遺稿集と追悼文をいただいた。 後藤先生とは15年以上同じ会社にいたが、最後まで深い接触はなかった。 それが残念でもあり、仕方なかったと納得してもいる。 自分がパネル部門に在籍していたためもあって業務での接触がなかったことが大きな原因と思…

生き物をめぐる4つの「なぜ」

長谷川真理子さんの2002年の集英社新書。 動物の形態と行動の多様性の意味は何か、進化とはどういうことなのかを考える本、だと思います。 ここで長谷川さんは動物行動の理解のためにティンバーゲンが提出した4つの「何故?」の解明を光る動物、鳥のさ…