マーケティング

MROCのキモ

なんとなくその効能がわかりずらいMROC。 字面を追っていて気づいたことは「キモ」はコミュニティだということ。 マーケティングリサーチはもちろん、オンラインも手垢にまみれた表現。そんなこといえばコミュニティもそうであるが、そのコミュニティが…

ニーズはとかくルーズになりがちである

原研哉さんのコトバである。 マーケティングの世界でニーズというと消費者ニーズである。 消費者が何を望んでいるか、今、やっていること、これからやろうとしていることが消費者の望んでいることなのか、はマーケティング関係者にとってなかなか理解・納得…

林知己夫『調査の科学』

ちくま学芸文庫から出ていた。 ブルーバックス版より値段が高いが仕方ない。 電子書籍が普及すればこういった古典が読みやすくなるのになと思った。読んで気づいたことのひとつにSCIという調査(今は名称が変わったらしいが)が非常に堅牢に設計された調…

画像データ付きインタビュー

アウラセミナーで実験的に観察調査を行った。 何が実験的かというと店頭観察調査の調査員(対象者)にカメラを組み込んだメガネをかけてもらって店内を観察してもらった。 その後のインタビューを画像を再生しながら行った。 テーマは近所のコンビニ2店舗の…

ゲーミフィケーションによる実験的モデレーション

グループインタビューの対象者の3つのアポリア ?自分の生活(行動)に意識的ではない ?意識できても表現力がない ?(他人の前で)正直に表現するとは限らない について教えてくれたのは油谷遵さんだった。 この3つのアポリアを突破して生活者の心理分析を…

役に立たないマーケティングリサーチ?

前回の続き「悪意のあるレポート」でウチを切り捨てた当のクライアントさんの動きをしばらく追いかけたが、リサーチしたコンセプトの商品やそれに似たコンセプトの新商品も発売されなかった。 ということは、ウチのレポートは悪意どころか「無駄な(失敗の)…

役に立たないマーケティングリサーチ

古い話。 新製品コンセプトチェックのインタビュー調査でレポートを提出した。 2週間後くらいに「悪意に満ちた報告書」と相手が激怒してしまい、今後は御社とは付き合えない。とあっさり切られたことがある。 ウチをクライアントに紹介してくれた会社とも気…

行動経済学とグループインタビュー

池尾和人先生のアゴラの記事:「行動経済学は絶望的か?」http://agora-web.jp/archives/1425119.htmlその中に「心理学者が個人の行動に関心を持っているのに対して、経済学者は、相互作用しあう人々の集団の結末について説明することに関心を持っている」と…

ゲーミフィケーション

ゲーミフィケーションってバズワードで終わると思っていたが案外しっかりした構造を持つ概念かも知れない。 特に「成長」とか「発展」を止めざるを得ない日本や欧米、30年後の中国などにとっては指針になるのではないか。 ゲーミフィケーションは「課題、…

使えるアイトラッカー

機械的なアイトラッキングは使えないと考えていた。 理由は「見た」という知覚は網膜上ではなく視覚野で感じられ、「見た」という認知はさらに高次の視覚野でなされるから、視線の動きを取ったところでマーケティング上の重要な知見は得られないということだ…

着てはもらえぬセーター♪

最近、やたらと懐古的になっているなとの自覚はある。 老齢と出口なしの鬱屈のせいかとあきらめる。 で、今朝は寒かった。 バスに乗ったら、いい年齢のおばさんが一心不乱にスマホでメール(らしき)を打っていた。 昔、この年齢のおばさんが、この季節にバ…

『受験脳の作り方』のはじめに

池谷裕二さんの改訂文庫本版のはじめに『科学者はたいてい慎重です。確実なことが言えない限り、口を閉ざします。現在の脳研究のレベルを考えれば、本来ならば「科学的勉強法」といった謳い文句は時期尚早な勇み足です。』この後、確実なエビデンスが取れる…

ソマティックマーカー仮説とマーケティング状況:推論と決断を迫られている。例えば、昼休み弁当(昼飯)買いにCVSに入った。マーケティング的な消費者行動予測:費用/便益分析を行い(推論)、最適な弁当を買う(決断)ソマティックマーカー仮説:上記…

ラポール形成?

インタビュー調査のラポール形成のステップで「あなたは周囲の人からどんな人だと言われていますか?」を語らせると通り一遍の自己紹介に軽い断絶が起こって和やかで何をはなしても大丈夫という雰囲気(ラポール)ができやすくなる。 正確ではないが、対象者…

ラポール形成

1on1でもグループでもインタビューの最初の時間はラポール形成に使い、「和やかで何をしゃべってもよい」雰囲気と対象者の認知を得ろ、と言われています。 その方法として、 ・自己紹介をさせる ・ゲーム的な作業をさせる の2方法が主流のようです。自己…

藻谷浩介さんの方法論

『デフレの正体』を読んだとき、この人は何か独特の方法論か視点で世の中を観察しているなと感じていた。 この10月18日の日経夕刊に自らその方法論を公開していた。?数値を見るときは率ではなく絶対値でみる ?消費の現場に出かけて行って消費者目線で観…

場の共有

数十年以上変化の乏しかった調査業界に久々にイノベーションをもたらしたのがネットリサーチである。 (その前のイノベーションはコンピューターによる集計。特にPCでデスクトップで集計・分析ができるようになったことか)ネットリサーチが圧倒的な費用効…

ベッドに合わせて足を切る

油谷遵『マーケティングサイコロジー』p113〜116 で、p116に「プロクラステスの寝台」が出てくる。優秀なマーケターでもことインタビューの現場に出てくるとこの「プロクラステスの寝台」の罠にはまることが多い。 対象者の個性を殺し、標準や平均を求めた…

FGI対象者のペルソナ

油谷遵『マーケティングサイコロジー』p136 被面接者の分裂 分裂という恐ろしい表現を使っていますが、簡単にはFGI出席者の中での「困った人たち」のタイプ分けのことです。 油谷さんはまず、1人の対象者としての振る舞いとグループの中での振る舞いに…

モデレーターのインサイト

油谷遵『マーケティングサイコロジー』p87に面接主体(モデレーター)の分裂という記載がある。 モデレーターは以下の6つに分裂させられる。(6つの役割を持つ) 1.1人の出席者 2.観察者 3.分析者 4.調整者(司会者) 5.報告者 6.統制者 6の統制者とは…

生活心理分析とインサイト

油谷遵『マーケティングサイコロジー』(1984)にあるように生活心理分析は油谷さんの造語である。 彼は生活者の生活を「まるごと」把握することを目的としていた。 そのために 生活構造分析 生活行動分析 生活心理分析という図式を提起した。生活構造分析は…

マーケティングインサイト

30年以上前に読んだ記事を記憶だけで書いてみる。ネスレだったかゼネラルフーズだったか忘れたが、インスタントコーヒー(IC)を発売した当時、ターゲットは忙しいワーキングマザー(当時は共稼ぎ主婦と言った)とし、朝のあわただしい時間帯でもきちん…

ペルソナは彫像

第19回アウラセミナーでペルソナを作った。 コンセプトは「ママ友のスターバックス」で、結婚してスタバを卒業した主婦のスタバ再入学によって来店客増をねらう。或いは新業態の開拓という設定でペルソナを作ってみた。 自分も含めてペルソナビルドの過程…

ダンバー数はホントか?

ダンバー数が気になって本を買ってしまった。 読んでみて、ホントか?という疑問が大きくなった。友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学(2011/07)ロビン ダンバー商品詳細を見るまず、進化心理学に偏見が大きいのかもしれないが、読んでいて「血…

ペルソナビルドのインタビュー

次回のアウラセミナーではペルソナを取り上げようと考えています。 ペルソナという手法は、我々が普段関わることが多い消費財相手のリサーチにはあまり向いていない方法かもしれません。 自分の知識ではアプリケーションソフトの開発現場がペルソナの活躍の…

デザイン評価のインタビュー

飲食品以外のコンシューマーグッズのデザイン評価のFGIが続いた。 女性たちの評価コトバは相変わらず「カワイイ!」であった。 大きさ、重さ、厚み、表面の色、線、図案もひっくるめて「カワイイ」かどうかである。 「どの部分からカワイサを感じる?」と…

ソマティックマーカー仮説とブランドロイヤリティ

読んだつもりになっていたダマシオの「感じる脳」を読んでいる。p195情動信号の再生はいくつもの重要な仕事をする。その情動信号は<略>その問題に対する推論の質を強化する。 <略> あなた自信の通常の推論が教える前に、それが「するな」という。またそ…

マーケティングデザイン

昨日のアウラセミナーで「認知(アイ)トラッキング」を取り上げた。 テーマはCookDoのデザインインサイトは何か?であった。 結果は、 ・画面をタテに大きく区切る2分割(3分割)の線 ・アップで撮影され、レンゲか箸で「動き」を出しているシズルカット …

小説書きのインサイト

小川・岡ノ谷『言葉の誕生を科学する』を読んで始めて小川洋子という作家に興味を持って本を探していたが小説より先にエッセイ集が見つかってしまった。小川洋子『物語の役割』を読んでいて、これはインサイトではないかとふと思った箇所。P71 「ストーリー…

日曜日の夜の個性的な人々

グループインタビューの経験から出てきた自分だけの「伝説」。 日曜日の午後3時以降から始まるグループインタビューはほぼ必ず、他の時間帯のグループインタビューと「違う」印象になる。 まず、独特な雰囲気を持つ個性的な対象者が集まることが多い。 以下…