「死者は生きん」から「去る者は日々に疎し」まで

8月15日は不思議な日だ。死(破滅)に向かっていた日本がなんとか踏みとどまった日だから、その日を出発点として前を、未来を語るべきだと思うが、全体は過去を、その日を向いている。その傾向がなくなるのは平成生まれ生まれあたりからだろうか。戦争の実体…

あと何回の読書

何十年か前に朝日新聞か日経かに小泉なんとかさん(確か発酵学の権威)の「あと何回の夕食」というタイトルの連載コラムがあった記憶がある。熱心には読まなかったがあと何回飯が食えるかという発想が面白いと思った。同時期に邱永漢さんが「数千万円の投資…

カルデサック

30年以上前、原宿のレナウンの本社があった付近にカルデサックというレストランがあった。その名の通り袋小路、どん詰まりに普通の民家のようにあったし、ネットもない時代だったので、知らない人は訪れることができない。広く知られることもない「隠れ家」…

巨木は異形の人

ひと月前くらいから、にわか巨木ファンになっている。理由は簡単で自転車を乗る目的が欲しくなったからである。自宅から行って帰れる程度の峠はほぼ全て制覇してしまい、あとは輪行するか、泊まりか、1日で200kmを覚悟するかしかなくなった。輪行はやってみ…

GANで連歌を楽しむ

昨日、平成最後の金曜日に紀伊国屋書店をヒマつぶし目的で訪れた。1Fの新刊フロアーからしてレイアウトが変わって通路が広くなっている印象。(実は数年ぶりで訪れたことに気づいた)2Fをぶらぶらしていて詩歌のコーナーに気づいた。本を買う目的で書店を訪…

エピソード記憶とマーケティング

質問紙によるものインタビューによるもののどちらにしろ、マーケティングリサーチの90%以上は対象者の記憶を調査している。記憶にはエピソード記憶と意味記憶がある。卒業式が同記憶されているかで2面がある。小学校、中学校、高校の卒業式を体験した人の記…

紫匂う武蔵野

2回前のチコちゃんに叱られるに出ていた歌舞伎役者さんが堀越高校の卒業生で高校の校歌の出だしを歌ったとき、「紫に追う武蔵野。。。」という出だしだった。その時、ふと思ったのだが、小学校はともかく中学、高校、大学とそれぞれの校歌に全て「紫匂う武蔵…

あと何キロ

ここ数年レースから遠ざかっているが走行距離は結構稼いでいる。100キロ/週がきほんだから、月に400キロくらい乗っている。ほとんどが平坦コースで神社巡りが多い。練習よりもサイクリング重視である。最近の収穫は回転が早くなり、引き足が自然になってき…

水仙

水仙にタイヤ取られて。。 庭先に前タイヤを外して置いていたら、2週間で水仙の花が咲いてしまった。 この時期、花粉がひどくて乗ることはないのだが、タイヤに絡まれると「オイ!」と言いたくなる。 朝顔は一晩でつるべを取るらしいが、水仙は春の花らしく2…

ブランディングとサイズ感とドロリッチ

ドロリッチが終売になるらしい。いっときは年間100億を突破したブランドだし、10年間続いたのだからヒット商品と言って間違いない。Twitterでは、容量を減らしたのが原因と指摘する人が多い。内容量はブランディングにとって重要な要素だが、テキトーに変更…

もうすぐ一周忌

別に愛とか恋とかではない。 30年以上一緒に生活してきた人が亡くなって1年になろうとしている。 考え方や行動に同意できないものもあったが幸い離婚せずにきていた。 まさに空気のような存在になろうとした時に死んでしまった。 祖母、父親、母親、を失って…

高輪ゲートウェイ

日暮里と田端の間が西日暮里とされたのに品川と大崎の間は高輪ゲートウェイとされた。何故、西日暮里であって東田端にならなかったかは知らない。いろいろと地域政治的な暗闘があったのか、その頃は駅名なんてどうでもよかったのかもわからない。今回の騒動…

作話と解釈装置

インタビュー調査での対象者の話には多くの作話が含まれているのではないか、と考えている。そして作話は「正直なウソ」と言われるくらいだから、頭から否定せずに分析に使ってもよい、使うべきと考えている。最近、ザガニガの『人間とは何か』を読んでいて…

でじたる・だぶる

近未来のAIは「デジタル・ダブル」だと日経サイエンスでP.ドミンゴスというワシントン大学の先生が叫んでいる。 理解した内容は、AIの進化によって殺人ロボットやロボットの支配者が現れるという未来を想像してもそんなことは起こらない。それよりも各個人の…

ネット通販(Amazon)に背徳のにおい

先日のネット通販タスクのインタビューからの妄想。 2人とも主婦、1人は30代で子供2人の専業主婦、1人は50代で成人の子供1人でフルタイムで仕事している。2人ともネット通販、店頭の両方を利用している。店頭販売の快楽は複数店舗(スパー)を訪れないと得ら…

理解はめんどう、私は感じたい!

これもネット通販のタスクのインタビューでの発見。 ランキングは長いリコメンドより役に立つ。はちみつを買う前提で楽天市場を検索中に「こういったランキングは一応チェックします」との発言。そのまま信じるわけではないが、どんなものが売れているのか、…

体感的ボリューム感とネット通販

先日のインタビューでの発見。 いわゆる最寄り品をネット通販で買うというタスクを与えて、普段通りにPCサイトを使ってもらった。対象者は商品として「はちみつ」を選んだ。「今、ちょうど切れそうなので何かいいものがあれば買いたい」という状況であった。…

買物の快楽

買物は苦痛、義務と感じる場面と買物は楽しい、ストレス解消になると感じる場面がある。今夜の夕飯の材料を買うのはつまらない義務的買い物で、この冬のためにコートを選ぶのは楽しい買物であろう。ただ、このふたつの感覚はきっぱりと分かれることはなく、…

マーケティングリサーチとAI

AI一般ではなく、マーケティングリサーチとAIという視点で AIを考えてみた。(これは第14回アウラ・コキリコセミナーでしゃべった内容である。知識不足や間違いが多いと思う) MRにとってのどかな時代 データマイニングの時代 ビッグデータの時代 AIの時代 …

パーケージデザインの機能

パッケージには中身(製品)の保存、保護、運搬しやすさ、などの実質的な機能が期待される一方で、マーケティング的には視認性、識別性、対競合優位性、表現性(製品ジャンルのデザインプロトコルとの整合性)などの機能が要求される。視認性と識別性は似た…

パッケージデザインで元気になる

最近、言われなくなった気がするが、日本の消費財のパッケージデザインは世界最高水準であるとの言説がある。国際パッケージデザインのコンクールでの受賞という話も聞かなくなった気がする。これも自分の感覚だが最近の新製品のパッケージデザインでも凝っ…

ラッピングマーケティングⅡ

トヨタとソフトバンクの提携発表はショッキングであった。解説は、自動運転技術が完成したときの自動車メーカーの立ち位置、自動運転を完成させるための情報技術の獲得などとトヨタの事情寄りのものが多かった印象である。一方、この提携はソフトバンクにと…

ラッピングマーケティング

前々回の記事にあるように最近、パッケージングについて考えている。パッケージングは重要なマーケティング要素である。典型は一般名称であり、湧き水、水道水とほぼ無料で手に入る水をネーミングし、きれいにデザインし、個別にパッケージングすることでブ…

インスタは無文字文化をめざす

先日、インタビューの対象として会話した女性から衝撃的な発言があった。「教科書以外の本を読んだことはほとんどない。雑誌なんて買ったことがない。自分の記録が載る陸上の雑誌は買うが、これも読むことはない」このあたりは、そうだろうな、と納得してい…

「量り売り」とパッケージング価値

パッケージング商品とノンパッケージング商品がある。昔はノンパッケージング商品は「計り売り(量り売り)」と言われたが、現在の音楽ソフトの売り方(買い方)も確かに「量り売り」の印象はある。ネットからDLできる商品はパッケージング不要であるが、パ…

暗黙知のインタビュー

M・ポランニーの「暗黙知の次元」を読んだのは30年位前だから当てにならない記憶だが、ネジを回すドライバー(ねじ回し)を持つ手(指先)の感触は、ドライバーを通ってドライバーとネジとの接点に至る。更にネジ山を通ってネジの先端に届く。これが暗黙知の…

絵本とインスタグラム

あるインタビューで20歳の女性が、「ネットを使う時、文章や文字は読まない」と宣言した。「楽天やアマゾンで買い物する時、リコメンドや口コミは見ないのか」とプローブすると「簡単なコメントや文字、価格などの数値は見るが、文章になったらみない、まし…

喪失

今年の正月2日に子宮体がんで妻を亡くした。 確定診断から14ヶ月。 その時から死を覚悟させられたので上下の振動はあるもののこころは平穏だった。 妻の心の動きはわからなかった。 人生の振り返りや死、死後の世界の話しはついにでなかった。 ロスがいう拒…

イメージの喪失

ブランドイメージについて考えていてふと思ったのが、イメージは死語ではないかということである。コトバ的にはイメージの反対語は事実とか現実になるのだろうが、今の世の中ウソも含めて事実と現実であふれかえっていて、のんびりとイメージを思い浮かべる…

吉本隆明「共同幻想論」とリエゾンインタビュー

吉本隆明の読者であったことは一種の黒歴史になっている。それはそれとして、換骨奪胎いろいろ利用してリエゾンインタビューの理論づけに使ってみる。リエゾンインタビューは疑似ペアインタビューで、その疑似が豊かな物語(対幻想)を生むという利点を持っ…